変わった五十肩の症状を紹介します
題して 「スネに傷を持つ女?」

症状は 「右の肩が痛い」 と言うごく一般的な「五十肩」 です。  (当然、五十代の女性です (笑)気にしないで下さい、ただの「親父ギャグです」 すみません、年頃なので…

「問診では、心当たりは、無い…自然にいつの間にかあがらなくなった。」

と言う事ですが、腕を挙上して貰うと可動域は約20度から30度くらいです、ぼほ フローズンショルダー〈凍結肩〉の状態です。

前腕、上腕、肩の周辺の筋の過緊張、全ての筋肉の拘縮、肩板も動かない、胸椎のしなりも無い、上腕二頭筋と大胸筋の過緊張で前肩になり、夜間痛がひどいので、整形外科へ行ったところ、干渉波を肩の周辺に掛けられて治療されたが、それが体質に合わなかったらしく、それのでは痛くてもいくらかは挙がっていたのに、逆にひどく筋肉が固まってしまい、それから、夜間痛が始まり、まったく腕が挙がらなくなり、痛みもさらにひどくなった。と言うお話でした。

初診時にあまりにも肩廻りの筋肉が、ところあまさず固まっていたので、関連域の頸椎と胸椎の矯正をしたのですが、改善は約50%。=硬くなった筋肉は多少緩むのですが、挙上状態の変化が少ない…?

肩板も完全に可動域は改善しているのに変化があまりにも少ない???…
二診目に残った過緊張の筋肉をほぐして、さらに20%程度の改善?…

ん、…

おかしいな?、普通ならばかなりひどくても、二診目には、90%の挙上率になるんだが…?

そこで三診目、さらに、詳しく蝕診をしていったところ。
上部胸椎の可動性は、まったく無し!。
そこで上部胸椎を施療して左右前後への可動性を改善してしならせる。

肩板もしっかり動く、しかし、まだ挙上は120度のまま。

腕が180度の挙上が出来る条件は、全て揃っているのに、挙がらない、まだ何処かが引っ張っている、、、それもとんでもないところが引っ張っている感覚がする。

もう一度全身の触診のやり直しです。

ん....。

右の胸鎖関節がさがっている。
(つまり鎖骨が下がっているのです=これは)当然右側胸郭の肋骨全体が下がっている事を意味します)

やはり、肋骨の下縁が右側が下がっている、左との差は、約3センチ。
つまり胸郭そのものが右側全体に下がっているのです。
これだけ、胸郭全体を引き下げてしまうのは、いったい何処だろう?

(=術後の癒着によって、良くこういう現象が起きます、大和経絡医学はこういった軟部組織の癒着や、内臓と腹膜の癒着、拘縮した靭帯組織の解除保する、非常に特殊な技法があります)

「何か、手術した経験は?」
と聞いても、「何もありません」 という返事、視診でも傷は有りません=皮線に沿って手術痕を上手に縫合すると、殆ど傷跡が残らない場合がありますが、それでも注意深く観察すると、僅かな皮膚の色の違いなどで判明します。

あった!

右足のスネに傷跡を発見!。
脛骨が1ミリほどえぐれている。これだけの傷が有れば、胸郭の異常も納得できます。

「これはどうしたのですか?と質問」

「駅の階段を膝から転んでスネを削りながら落ちたのです」

「うわ〜っ、痛そう」

「ええ、ホントに痛くて、大人なのに泣いてしまったんです」=(ン~笑える…)

駅で転んでワンワン泣く大人の女、なんと可愛いんでしょう
(=いやいや、冗談です。でも笑っちゃいました、ごめんなさい…)

冗談はともかく、骨膜が、完全に抉り取られているので、いまだに痛みは無いけれども違和感があるといいます。

(俗に骨に神経は無いから、骨折しても骨には痛みが無いなどと、良く馬鹿医者が言いますが、これは大きな間違いです。
骨には、ハバース管とホォルクマン管という骨への血液の供給血管が網の目のように、通っています、血管には、交感神経や、副交感神経、求心性神経が巻きつき、血管の損傷に対して、大脳の感覚野へ伝えます。
おまけに、骨の周りには、骨膜が有り、これも神経分布が豊富にあります。
そして骨折には、非常に大きな軟部組織の損傷が必ず起きます、傷の痛みに対しては、  「体性_=_体制反射)がおきます。 これは、傷の部分を守るために、頸椎反射、胸椎反射、腰髄反射、自律神経反射、等が おきて、あらゆる「皮膚、靭帯、内臓、筋肉、靭帯、軟部組織」に 「防衛反射」を引き起こします。  反射が内臓に起きる場合は 体性=内臓反射と言います。
内臓などに損傷、又は、アッペなどては、内臓が原因で起きる  内臓=体性反射 と言います〈ディファンスが有名〉
ですから骨折した事の無い人には、分からないでしょうが、実際に骨折をすると、かなりの痛みが有ります。
〈ちなみに私は、事故と、武道で、合計三回の骨折経験があります。(ホントに痛いですよ!)

さて、話を戻しますが、スネをこれだけ削りとられると、骨膜がひどい損傷を受けて、軟部組織は、骨膜から、皮膚、筋肉、筋膜、臓側腹膜へ伝えられて、「傷跡のひきつり」が腹部と胸郭全体に発生します。

これで肋骨が下がり鎖骨が下がっている理由がわかりました。
これだけ胸郭が下がっていれば、<上腕肩甲リズム>が完全に崩れて、腕の挙上に障害が出るのは当たり前です。

治療は、「骨膜」への、大和整体独自の気孔による、「圧」の伝達で、無意識下に残った、防衛反射を解除してやります。
やはりこれだけで、「下がった「胸郭」は、上昇して、両側の骨格は正常に戻りました

右腕の挙上障害の原因は、なんと ! 『スネの傷』 だったのです。  (これで題名の理由が分かったでしょう?)

骨膜の傷による過緊張の原因の「膜の連動」を取り除いてやると、腕は胸郭と共にすんなりと、挙がりました。



上腕骨の上方変移は、原因は色々ですが僧帽筋、=第二頚神経支配、三角筋や棘上筋の過緊張や筋組織の損傷によって発生します。=C5腋窩神経と肩甲上神経=C5支配ですから第五頸椎と第二頸椎の矯正によって「肩を引き上げていた僧帽筋や三角筋を支配する「腋窩神経」「肩甲上神経」の圧迫が解放されて、上方へ引き上げられていた上腕骨はフリーとなり、
その結果、肩甲骨の上腕関節窩と上腕骨頭の「間隙位置」は正常に戻ります。
逆に説明すると、第五頚神経、第二頚神経にサブラクセイションが発生すると、その神経の支配する筋肉群は、支配神経の正常な運動神経からの信号を受け取れなくなるために、筋肉の自律収縮が始まり、拘縮していきます。こういったプロセスを経て、関節間隙の狭小化が起きて、「腕」を挙上すると、肩甲骨肩峰の関節窩にある上腕関節頭に上腕骨頭が衝突して「痛み」を発生するようになります。その「痛みがさらに「引き金」となって、肩廻りの筋肉群が関連拘縮を起こしていき、肩板障害も発生していきます。またその他にも原因はあります。

<肩甲、上腕リズム>に関しては、『カリエの肩の痛み、頸と肩の痛みシリーズ』 をご覧になってください

詳しく書くと一冊の医学書と同じページ数になりますので…割愛させていただきます
同業の方には、お勧めの一冊です、他に、プライマリケア整形外科。図解整形外科、整形外科手術へのアプローチ、などもお勧めです。
腕と、肩との相関関係が理解できます。

〈最も、こういった、「軟部組織の連動性」の問題に関する本はありません、
あえて言えば、ディじゃネットの伝説に関する本を熟読すればヒントくらいは掴めるかも知れません。深く理解が出来るほど頭がよければ…という条件つきですが)

例えば前腕の伸筋が固まっていても上腕の挙上障害が発生します。
この理論は、大和式整体独自のものです、詳しく知りたい方は、本厚木にある、大和式整体研究会の「大和式整体神奈川支部」の第四木曜日に行っている「勉強会」に参加をお勧めします。  大和式整体神奈川支部、TEL046−229−3770
小さいカイロプラクティック治療院なので、参加はあと二人のみです。