梨状筋症候群(Piriformis syndrome)

腰痛の男性が来院しました
腰痛などは一日に何人も来るので、何も珍しいことはないので、特に、記事にすることなど無いのですが.....

問診をすると、なんと!

「梨状筋症候群」というのです

それは整形外科での診断ですか?
と聞くと

「はい、うちの近くの整形外科で、そう言われました」

というのです、これには、私の方が、ピックリしました

云っちゃあ、悪いですが、と言いつつ、(言ってしまいます=またまた、整形外科さんに失礼します〜)
長年、この仕事をやっていますが、

坐骨神経痛と、梨状筋症候群の「区別」がつく、整形外科さんがいるとは、驚きです
SLRテストが陽性で、レントゲン像で、椎間が『狭い』と、まず、間違いなく、「ヘルニア」と診断されます

あるいは、お尻の「梨状筋」の部分が痛いと、患者が訴えれば、余計さら、「坐骨神経痛」か、と診断します

SLRテストが陽性でレントゲン像影で椎間に異常が見られると、「根性痛」と判断してしまうのが、ごく一般の整形外科の診断です (未熟なカイロプラクティックドクターも、そう、考えます)

普通、軽い、慢性的な、腰痛以外の急性腰痛になると、某脊柱起立筋は過緊張をおこすために、椎間は、過緊張を起こした、起立筋に引っ張られて圧迫障害が発生するために、レントゲン像では、椎間が、正常の人でも、「狭く」映ります

特に、辛い物や、食あたり、アレルギー食品などによる、「内臓性」の急性腰痛(ぎっくり腰)であれば、内臓の炎症反応によって
『筋性防御』
が発生してしまうために、大腰筋と腰方形筋の過緊張が発生するので、特に、こういったインナーマッスルの過緊張によって、椎間は「圧迫」されます(大腰筋は椎体に直接起始しているので、大腰筋の過緊張は直接に椎体を圧迫します)
軽い慢性的な腰痛の場合は、インナーマッスルの反射痙縮は起きません、そのため、椎間に異常な像は映らないものです(これも長期にわたる場合は、骨棘形成が認められる場合があります)

ところが、内臓性の『急性腰痛』の場合は、防御反射のために、脊柱起立筋とインナーマッスルの過緊張が発生するので、「椎間」の異常が起きて、『狭く』レントゲン造影に移る場合が多いのです
ひどい場合は、SLRテストも「陽性」になるので「根性痛」も起きて、ヘルニア的な、症状を呈します

というわけで、

梨状筋症候群が正確に診断する整形外科医が居た! と、驚いた訳です

この患者さんは、内臓性の単なる腰痛なので、一回で痛みは消失して、終わりです

(原因となる食品の注意はしておきました)

梨状筋症候群
<解剖学>

梨状筋は仙骨内側部に起始し、大腿骨大転子に停止します

内臓の炎症による「筋性防御」=内臓の炎症が腹膜に及ぶとき、腰椎骨盤周りの筋は、脊椎後枝からの反射によって、固くこわばる=これを筋性防御、または、ディファンスという」

腸骨の内側には、「腸骨筋」が腸骨内壁から起始し、大腿骨小転子に大腰筋と共に『腸腰筋』として停止する
腸骨の外壁には、仙骨翼から起始した「外旋六筋」が大転子に停止します
この外旋六筋のうち、最も大きいのが中央に在る「梨状筋」です

この梨状筋の下には腰神経叢の中で最も太い「坐骨神経」が下を通ります、(人によっては、梨状筋の中をとおっている奇形もあります

したがって、なんらかの理由で、「梨状筋」に過緊張または、拘縮が発生すると、坐骨神経は、梨状筋の部分で
インピンジメントが発生して、下肢への坐骨神経の筋枝や皮枝などの走行上に放散痛を起こします

しかし、坐骨神経は、必ずしも梨状筋だけでインピンジメントが起きる訳ではなく、椎体の変位や椎間板の狭小化、そして、椎間孔の部分や仙骨の捻じれ、または腸骨の内方変位などによっても、坐骨神経の絞扼は発生します

このように、坐骨神経の「絞扼」症状はいろいろな形で発生するので、痛みの部分が大臀筋に限られている場合で
、しかもSLRテストは陰性
レントゲン像では椎間板の変性や狭小化は認められない

という場合に、「根性痛」とは診断できないわけです

神経根のナーブスリーブは椎体の変位(骨のズレ)によって、簡単に狭小化が発生します
この場合は、坐骨神経のインパルスの低下によって、支配域の筋力の弱化や硬縮が検査によって判明します

大臀筋=お尻の中央部分(梨状筋)に限定した、根性痛を伴わない痛み、、、これが梨状筋症候群なのです

このように、坐骨神経痛でも「梨状筋]の部分に顕著な、限定痛が出る場合があります、
ヘルニアでも、やはり梨状筋の部分に痛み゜が発生する場合もあるのです

ですから、坐骨神経痛と梨状筋症候群は混同しやすいわけです

解剖学の説明部分で
腸骨の内側にある「腸骨筋」とその反対の外側にある「梨状筋」とは、普段、筋力が拮抗していて、骨盤=腸骨のバランスを取っていますが
、どちらかというと、腸骨筋の方が筋力的には「強力」です

外旋筋として、他に「大臀筋」「中臀筋」「小殿筋」がありますが
それでも
内臓に炎症などの、問題が発生すると、前述した  「筋性防御」が働きます
すると
腸骨は腹筋や「腸骨筋」に引っ張られて、腸骨の「内方変位」が発生します、

これは
カイロプラクティックでは正中仙骨陵を基準に触診をして変位の位置を決定しますから「EX」となります
身体の前から見ると、「内側に閉じ込む」=後ろ側の仙腸靭帯が開いてしまう

すると、骨盤の後ろ側の「回旋筋群」がけん引されます
中でも六つある、回旋筋の中で一番強い「梨状筋「が、この骨盤の内旋に対して、一番頑張るので、強い緊縮力が発生し、
かくして、「梨状筋」は頑張りすぎて痛くなる!

というというわけです

ですから、『神経痛』と
      『梨状筋症候群』とは、症状は似ていますが、似て非なるものなのです

症状の鑑別は、「神経の根性痛、或いは「放散痛」 があるか,無いかで、判断できます
          それと、大腰筋の強い拘縮を伴うのも、特徴です、
          骨盤=腸骨の閉じ込みがあるので、ベルビック外転抵抗検査をすると陽性が確認されます