ひねくれた腰痛=最終章

さて、前節はこのくらいにして、
本題の「ひねくれた腰痛」の診断と、施療過程を説明していきましょう

なぜ、「ひねくれた、、、」というかという問題ですが

簡単に言うと、左側が患側なのに、「左荷重」になっているからです
通常、患側には、体重を支えることが出来ないのです、過重をかけると、患側の骨盤は「可動性」を失っているために、靭帯が『負荷』に耐えられないからです

で、視診の続きですが、あまりに腸骨の高さの違いがひどいので
立位では、左腸骨が右に比べて、約4センチほど高いので、鏡で患者さんにじかに自分で見てもらって、驚いてもらいました  (ちょっと意地悪をします、、、)

次に身体が右が大きく前に突き出して立っています(左回転)
左肩がおちて、右肩が上がっています

このようにして
まず施療を施す前に自分自身の身体がどうなっているかを患者さん自身の目で確認してもらいます

大概は、思ったより体の捩じれや高さが違うので、自分がどんな状態であるかを理解してもらえます

この患者は、検査途中で「右の鼠径部と股関節」にも違和感があることを訴えています

この時点で、左大腰筋の硬縮が左体幹を後方へ引っ張り、そのために体感軸が大きく右前になっていると、推理できます
しかも、「違和感」ある右股関節と鼠径部は「痛み」から逃れるために、前方へ逃げます
(これは、右休めの姿勢と同じです)

したがって、固くなって骨盤の可動性を失っている患側は「左」ですから「荷重側」は右に荷重するはずなのですが、鼠径部と、股関節に「違和感」があるために「左側」に全体重が乗っています
(これは、相当長期に渡って左が使えなかったことを意味します)

通常、左の内臓が不調になると、その内臓への負担を軽くするために、体重は患側と反対側への「偏芯荷重」となります

ですから、現在の症状から、考えると、体重分散は、「左荷重」から、右への偏芯荷重となってしまう訳です

以上が立位での視診です

次に「仰臥位」でのモビリゼィション検査です

左足のフレアー(通常、患側の足がフレアーになります)

両方の下腿をそれぞれに引っ張ると、左骨盤はスタックして動きません
腸骨を前方から押圧して、可動性を診ると、左腸骨に可動性はありません
痛い方の右腸骨は動きます(一般的には、痛みのある方=つまり、右側が固いはずなのですが、、、)

膝を曲げさせての「Aliceテスト」=陰性です=股関節に異常があると「アリステスト」と呼ばれるこのテストは「陽性」となります(詳細は整形外科テストを照覧)

膝を曲げたままでの回転テスト(股関節と鼠径靭帯のテスト)
左はやや可動性の低下が有りますが、異常というほどではありません
右の膝屈曲での回転テスト=やはり、やや、引っ掛かりが有ります
開きも、十分ではありません(鼠径部痛が原因です=L-1腸骨鼠径神経の影響)

大腿四頭筋の筋力テスト(L-4レベルのテストです)

大腿四頭筋靭帯腱反射テスト=quadriceps muscle reflex test
弱化を両側に認める

足を延ばして、足首を背屈してもらい
前脛骨筋テストtibialis anterio test (L-4レベル深腓骨神経)の検査=陽性、
陽性とは=つまり弱化して異常を起こして居る事をいます
testに反応が無ければ=陰性という訳です

次に、SLRテスト=陽性で、
さらにボウストリング兆候がやや、認められます
膝蓋反射テストpaterlla reflex=これも陽性です

さらに内転筋=閉鎖神経テストです
これもやはり弱化しています

これらのテストで判明したことは
L-5レベル
L-4レベル
L-3レベル
L-1レベル
に問題が生じているという事です

サイドポスチヤーでの、ランバーロール、の腰椎矯正によって
L-5
L-4
L=3
L^1
の矯正をしてから、腸骨の可動性が回復している事
そして、弱かった大腿四頭筋の力が正常になり、非常に強くなっていることを確認してもらいます

左腸骨の可動性は矯正によって回復していますが、腹部の奥にある「大腰筋」の硬縮は回復しませんので、これは、「大和医学整体」の奥義技の一つである「浸透圧」を使って解除していきます

この時点で、一度立って頂いて、腰痛の消失を確認してもらい、鏡の前で、曲がっていた、身体と骨盤、体幹の捩じれなどが、全て消失していることを確認してもらいます

腹部の触診では腹筋の硬直、特に胃の部分に固い過緊張が発生しています
通常、腹筋の過緊張は、「内臓体性反射」と呼ばれる腹部内臓の反射によって筋性防御として現れ、これは、消化器の不調を意味します、またL-1のサブラクセイションでも、同様の反射が起きることが有ります

それは、L-1から出ている腸骨鼠径神経と腸骨下腹神経が板状筋と呼ばれる腹筋群を直接支配しているためで、サブラクセイションの影響で、神経系の伝達障害が発生するために、腹筋は、自立収縮をしてしまうのです

一応、食事の習慣が疑われるので
「早食いですか?」
と、質問すると
「早いです」という答え
さらに
「コーヒーは良くのみますか?」
そして、
「辛い物はすきですか?」
と質問すると

「すべての質問にyes肯定」の返事です

要するに、「消化器を傷める」、ことは全てやっている食生活だということです

したがって、胃の部分の「みぞおち」を中心に、腹筋は強く固まっています
オステオバシーテクニックで内臓と腹筋の過緊張の解除

さらに
TL、testでは、まだ右股関節大腿骨頭に反応が出ます(L-1の矯正で鼠径部痛は無くなっている)
大腿骨頭の原因部を、TLtestで調べると
右足の立法骨に反応が認められます
「立法骨」の上外側変位です(これが股関節の痛みを引き起こしている)


さらに、右下肢を触診すると、腓腹筋と足底筋に固く硬結している筋が発見されます
それらの筋を解除(これは、かっては、内臓の問題で左側が使えないために、右側で長期間立って荷重していたことを意味します)

そしてガンステッドテクニックで立法骨の矯正をすると
股関節の反応は消失
三角筋Deltoid muscle TLtestで股関節の異常が消失しているのを確認してもらいます

再び、立ってもらい、屈曲、進展、回旋などの動きをしてもらって、全ての身体の異常がなくなっていることを確認してもらって診療は、終了です

症状の説明
患者は「左荷重」立っていたこと
   右側の鼠径部と股関節に違和感を訴えていたこと
   左の内臓に障害を起こして居るのに「左荷重」であること
   腹部に筋性防御反射が起きている事
   右下腿と股関節に痛みが発生している事
   これらの理由から患側の左荷重となっている事
   右側に痛みが集中している事
   
これらの原因が腰椎に捩じれを生じ、腰椎のサブラクセイションを起こして「腰痛」の発生原因

したがって、施療の中心は、腹部内臓と左骨盤の可動性の回復、右股関節の異常を解除することになります

以上で今回のひねくれた腰痛は、全て回復しました

この「ひねくれた」という現象は、実は、ごく一般的にみられる症状であり、すべては
脊髄の反射機構による、「代償性、」の運動機能なのです

ひねくれた腰痛の 続きです

症状の確定診断は、「問診」と「触診」「モビリゼィション」「筋力検査」「神経反射テスト」「AK=アプライドキネシオロジー=テラピーローカリゼィションテスト=略してT、Lテスト」などを行い、より、正確に、?症状の実態を解明していきます

姿勢検査においては、直立の「グラビティRhine」を矢状面と側面から見ます
骨盤の約30度と言われる「基底角」
腸骨の開き具合、または閉じ具合と仙骨の捻転
腰椎の生理湾曲=後弯の場合は、その理由
胸椎の生理湾曲=以上の場合は、その理由
そして
第一胸椎の位置=第一胸椎は「頚椎と頭部の基底角」と言われています=首の基底角を診ます
さらに、頸椎の生理的前弯を診ます

そして、後頭骨がしっかりと首の骨に乗っかっているか?=第一胸椎の基底角が保たれていないと、首やあごの「突出し姿勢や猫背姿勢」になります=このような場合は、「ストレートネック」と呼ばれる生理湾曲の喪失した頸椎となります(整形外科医はストレートネックになる理由を知りません=知識不足)

骨盤=仙骨の基底角の30度が保たれないと、生理湾曲が失われて「ストレートネック」になります=−これも代償性です

整形外科も、もっと、構造医学や、キネシオロジーを勉強すれば理解が出来るのですがねー、、、
昔と違って今は、とても素晴らしい教書がたくさんあります

さて、
胸部では[肋骨]と「胸骨」の異常を診ます(内臓に問題があると腹筋の筋性防御の作用で腹筋の停止部である胸郭が牽引力によって固くなります)

さらに下腿の可動性と障害部位、
股関節の回転性など、、、

そして、骨盤の回転性と各方向への可動域を診ます
このようにして、身体のいろいろな部分の異常を発見して、その異常がどんな原因から発生してるのかを
推理して、病態の把握をしていきます

異常の体位、或いは異常な姿位、姿勢等は「正常に非ず」=つまり、健康でまったく異常の無い人の身体に比べて、「何処が、どれだけ、異常」なのかを比較対象
していき、その「異常な部分」を発見していくのですが、「本来の健康な成人の身体と生理的諸機能」 が分からないと、正常、非正常の判断がつかないわけです

ですから、「健康時に置ける正常な機能」とは、どんなものであるかを熟知していなければなりません

すなわち、運動機能、生理機能など、神経学、生理学、運動生理学、キネシオロジーなどの専門知識が必要になる訳です、
、現在ある痛みというのは、「表面」に出ている、「結果」の一部分にすぎません

「痛い部分、とは、「原因」ではない事が理解できないと、病理学的結果である「痛い部分」ばかり触ろうとします
病院で、出る薬も「痛い部部」への対処療法として「とりあえずお薬を出しておきますねー」的な処方がなされます

「痛い部分は「原因」ではない」ので、いくら触っても、薬を飲んでも治りません
「痛くなる理由」という病理学的理由というものがあって、
「痛みという結果」が出る訳です

ですから、「施療は「原因」の方に対して行わないと、「痛み」は消失しないというわけです(名医は原因を見抜いて、その原因に効く薬を処方します)
大切なのは、「痛み」をもたらす、原因となる、各種の「既往歴」などや、「内臓の不調」の原因の食事の内容から、食習慣、私生活、仕事の内容によって、身体に異常な「負担」がどのような経緯で掛って、傷病に至ったか?
ということです

腰痛というのは、解剖学的に人間の構造体では、普通の生活ではどんなに重いものを持っても身体にかかる「負担」では発症しないように作られています
「人体への、負荷過重試験というのを行った記録があります=脊椎骨と椎間板の耐圧試験です=結果は、上からの圧力では、椎間板は耐え、脊椎骨が圧力で先端から破壊されていったという結果が載っている、専門書の記事が有ります」

そこにはいろいろな生理的、構造学的、内科学的、神経学的な要因が。「生理機能」を上回って、身体の生存、細胞の再生能力を超えて、健康に戻れなくなったときに、「痛み」あるいは「傷病」が具体的な傷病として、発症に至るという過程が存在します

その「発症」に至る過程が、その症状を観解に変化させる『キーポイント』になっていくのです
ですから、「今、現在ある痛み」は「傷病」を引き起こす『結果』という事になります

したがって、痛みを引き起こす『原因』を発見していくことが、治療のポイントになる訳です

たとえば、下腿を引っ張ってみると、体幹の伸展機能の障害の部位が浮き上がって診ることが出来ます
既往歴で、問題があると、体幹の軸に「歪み」が発生して、各種の異常な症状を引き起こします

要は、視診゛においても、モビリゼィションテスト、神経学テストでも、
「その異常を見抜く目」

を持っていないと、検査しても、何もわからないということです(知識と経験値)=
病院で行ういろいろなテストでも、その医師の知識と技量によって検査に異常を発見することが出来ないという経験は、みなさんよくあると思います、
このような「医師の知識不足。技量不足による誤診」
が良く新聞などでも報道されています、当院の経験では、医師のあるいは、病院の診断の約40%くらいが、再検査をしてもらうと誤診が出てきます
(医師の診断に現在の病理に合わない診断の場合は、再度、違う病院での再検査を患者さんにお願いしています=レントゲンのコピーも、頂いています)

下肢長の差は、骨盤の状態と、過重側で大きく変化します

Chiropracticではよく下肢長の違いや「骨盤の転移=ズレ」などを最初に診断の基準にしますが、「なぜ?下肢長の変化が起こったのか?」という、プロセスの解明をしようとしません
というより、
ひょっとしたら「下肢長の変化」や「骨盤のズレ」が起こる理由を考える能力が欠如しているのかもしれません(神経学、生理学、内科学の勉強不足と思われます)

また、腰椎が『サブラクセイション』=腰椎の転移性、或いは、回転性の変位』は何故おきるのか?
という原因の究明をせずに、(原脊椎変性の場合=結核腫瘍など=は厚生省から施療の禁止指示があります)
ただ、この骨が「ズレ」ているから矯正します

という、
ただの「矯正屋」が多いのは事実であり、やはりこうした無知な傾向が、整形外科などから指摘されています

正確な知識を持つ「腰痛、ヘルニアの専門=日本カイロプラクティックセンター」
? 「ひねくれた、腰痛」
昨日の患者です

主訴は「腰痛」、
そして立っていると、「足が片方短いような気がする」ので
「骨盤がずれているのではないか?」
というものです

「はははは、確かに片方の足が短くなっているし、骨盤もかなりずれていますねー」
と、またまた、笑ってしまいました、(すみません、、、)
というのは、入って来た時に、
すでに姿勢分析をしているからです

診断の第一歩は、患者の姿勢分析と各関節の可動域や、歩行バランスを診ます
歩き方=左右均一の足の動かし方を、まず診ます

それから
左右の骨盤[腸骨]の可動性
歩行時の肩の振り方です、(人間の歩行は)二本足で『歩く』という不自然な動きがあります=鳥族=鳥類は、鶏も含め、頭を前に突き出しながら、身体のバランスを取って『二足歩行」を行います

{鳥類}は、骨盤を左右に動かして、「歩行バランス」を取ることが出来ない構造のため、(調子取り歩行)
頭を前後に振って「調子取り歩行」を行うのです

ペンギンは、この限り非ずでして、首を振らないが、動かない腰の全体を身体ごと、左右に振り歩くのです
骨盤の固まっている女性(内臓や子宮内膜症が潜んでいる)は、この、「ペンギン歩き」をします

人間は、この「骨盤」の回転性が優れているために、二足歩行の「ブレ」を骨盤の前後への「回転」で補います、そしてさらに、腕を「反対側」に「交互」に振ることによって、より、安定した、上半身の「歩行姿勢」を作ることが出来るのです

ところで、「腰痛」の人は、まずこの「腰」に問題があるために、腰回りの筋肉が硬縮しているために、
十分な、腸骨と仙骨の回転が不十分になるため、「代償性」の動きが生じます

良く、若い女性は、お尻をセクシーに、プリプリと振りながら歩いていますが、あれは、骨盤に問題がないために、「骨盤の可動域」が正常に保たれているがための「自由歩行姿勢」なのです

OLさんなどは、毎日、「コーヒー」、を飲んでいるために、カフェイン硬縮(生理学的化学反射)が発生して、腰回りの筋肉群は、固くなってしまい、腸骨は可動性を失います=ですから、肩も腰も動かずに、足だけで、無理な直立姿勢のまま、殺気立って「カツカツカツッ」と早歩きをしています

また、男性でも、肩を左右に振りながら歩いている方も居ます、それは『まるで、グレている』ような
歩き方に見えます

実はこれも、腰を痛めている人の、独特の「代償性、」歩行姿勢なのです
仕事で腰を痛めたために、腸骨の、回転能力が低下してしまうので、代償性で、肩を左右に振って、「調子取り歩行」をしているという訳です
(まぁ、中には、やくざ映画を見て、肩を威嚇のために振りながら歩く人も、若干いると思いますが、、、)

そんなわけで、治療は、診療室に入ってくる時からすでに始まっているのです